(2023.09.21)
セーリングというスポーツにおいて、アメリカズカップほどスペクタクルなレースはこの世に存在しない。その前哨戦となるレガッタが、スペインのビラノバ・イ・ラ・ジェルトルーで9月15日から17日に開催されました。開会記者会見で、世界的に有名で人々の尊敬の目を集める銀色のトロフィーが壇上に置かれると、セーラーたちは突然、集中力を高めたように見えました。その世代で最も傑出したセーラーたちにとってすべてが現実のものとなり、究極のスポーツトロフィーへの旅が始まったのです。

ビラノバ・イ・ラ・ジェルトルーで開催された第37回アメリカスカップの第1回予選レガッタ最終日を5位で迎えたNYYCアメリカン・マジックが、リーダーボードの順位を上げ、マッチレース・グランドファイナルへの出場権を獲得するのは、せいぜい外れた賭けと思われていました。
トム・スリングスビー、ポール・グッドソン、ライリー・ギブス、マイケル・メニンガーというこの日の傑出したメンバーを揃えたチームは、その小さなチャンスをものにして、信じられないほどスムーズなセイリングを披露しました。
ウォーターフロント沿いには、劇的なドラマが展開されるのを見ようと群衆が押し寄せ、様々な形や大きさの艇団が観客フリートを構成し、美しいヴィラノヴァ・イ・ラ・ジェルトルーでレースが進行するにつれ、洋上は電光石火の雰囲気に包まれていきました。

しかし、最近のトレーニングセッションでNYYCアメリカンマジックを見た多くのコメンテーターにとって、チームのパフォーマンスを見て驚くことはありませんでした。バルセロナのトレーニングセッション、そしてフロリダ州ペンサコーラでの冬の間中、彼らはチーム代表のテリー・ハッチンソンとトム・バーナム率いるコーチングチームの見守る中、着実に、そして少しずつ向上してきました。
エミレーツ・チーム・ニュージーランドとのマッチレース・グランドファイナルでは、風が止み、第1マーク到達の制限時間を超過したため中止となり、そのままNYYCアメリカン・マジックに勝利がもたらされたことは、観客や世界中の視聴者にとっては少し残念なことではありましたが、当日のアメリカンマジックのセイリングが素晴らしく、勝利にふさわしいものであったことは誰もが疑いませんでした。

最終日は、最初の3レースをエミレーツ・チーム・ニュージーランドとNYYCアメリカン・マジックが争う展開となりましたが、他のオリエント・エクスプレス・レーシング・チーム、アリンギ・レッドブル・レーシングとルナ・ロッサ・プラダ・ピレリも、サポーターやスポンサーを喜ばせる素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
今年11月末にサウジアラビアのジェッダで開催される次回のレガッタに向けて、各チームはさらなる激しいトレーニングを展開していくことでしょう。