(2022/03/21)
55m(181フィート・ビーム9.1m)のスーパーヨット「AL WAAB」が、トルコのアンタルヤにあるAlia Yachtsでの2年間建造期間を経て、オーナーに引き渡されました。推定価格2500万ドル(約30億円)で、年間維持費は推定250万ドル(約3億円)。オーナーはカタールの大富豪のようです。

オランダのVripack社がデザインと設計を担当し、500GTクラス以下の船体ながら、内部・外部の様々な空間を最大限に凝縮しています。Alia Yachtsによると、AL WAAB は鉄とアルミニウムで建造された500GT以下のスーパーヨットとしては最長のものとなるといいます。
Alia YachtsのGökhan Çelik社長は「ヨットはより長く、ワイドになる傾向にありますが、オーナーたちはまだ500GT以下にとどまることを望んでいます。このクラスのヨットに対する関心は高まっており、このような印象的なプロジェクトで最初の建造者の一人となることは、Aliaにとって重要なマイルストーンとなります」と語ります。

同クラスのヨットに比べて、約42%広いエクステリアスペースを確保しています。499GTのヨットには、アラビア語の“waab(ワーブ)”という言葉が使われていますが、その名の通り「物を収容する広大な領域」という意味です。(カタールには“Al Waab”という地区も存在します)
シンプルなレイアウトと程よい広さの屋外スペース、そしてモダンでフレッシュなデザインが、オーナーの好みのキーポイントでした。

ハイライトは、なんといっても前甲板にある4mプールと広々とした後方のビーチクラブでしょうか。また、3つのデッキをつなぐ階段の吹き抜け部分に、クリスタルを組み込んだゴールドのイルミネーションウォールインスタレーションを施したことも特徴的です。さらに、ガラスを多用することにより、視界が遮られることなく、内部空間と外部空間の間にシームレスな流れが生まれました。すべてのデッキに設置されたガラスのブルワークからは、船外の景色が一望でき、広い屋外スペースでは、ゲストがプライベートで快適な空間で景色を楽しむことができます。船内の座席の多くは外向きに設置されており、海を身近に感じられるようになっています。



6つのキャビンに最大12名が宿泊可能(クルーは10人)、そのうちオーナーズスイートはスプリットレベルタイプで、アッパーデッキのキャビンから広々とした景色を眺められるほか、ツインバルコニーを備えています。ドレッシングルームとバスルームは下のデッキでつながっています。



テンダー収納は船首に巧妙に配置されており、1トンのクレーンを使って7mのテンダーと3.5mのRIB(Rigid inflatable boats)を簡単に出し入れすることができます。
昨年7月に進水した本船は、やっとオーナーに引き渡されることになりましたが、パンデミックにもかかわらず、納期は予定より数週間遅れただけでした。
「この2年間は大変でしたが、安全衛生対策を徹底し、ヨーロッパのサプライヤーの遅れを取り戻すために、問題を修復し、ロスした時間を取り戻す努力をしてきました」(Çelik社長)

Al Waabの最高速度は12.5ノットで、キャタピラー社製C18ディーゼルエンジン725馬力を2基搭載しており、造船所によると、同サイズのヨットに比べて燃料消費が35%少ないとのことです。
まだチャーター用には提供していないとのことですが、近い将来、地中海でチャーターできるかもしれません。