「ホテル・ド・クリヨン」は豪壮なコンコルド広場に面した宮殿ホテルである。マネージメントはRosewood Hotels & Resorts で、正式名称は “ ホテル・ド・クリヨン・ア・ローズウッド・ホテル”「Hôtel deCrillon, A Rosewood Hotel」となる。建物は1750 年代に建設されたのもで、パリ市の重要文化財にも指定されている。ホテル創業は1909年。1919年には国際連盟設立に向けた最初の準備会議が開催された。
2013年より2億ユーロ(約270億円)と4年間を費やして大リノベーションを敢行。2018年7月5日にリニューアルオープン、歴史の重みとアーバンコンテンポラリーなデザインがほどよく調和した仕上がりとなった。これには著名インテリア・デザイナーの3人=Tristan Auer、Chahan Minassian、CyrilVergniol の存在が大きい。総指揮をしたのは著名なアート・ディレクターの アリーヌ・アスマー・ダマン。ゲスト・デザイナーには、カール・ラガーフェルドが迎えられた。また、スタッフ数百人分のユニフォームも刷新され、新進デザイナーのHugo Matha の作品を採用した。
「ホテル・ド・クリヨン」では、かつてのチェックインデスクが廃止され、優雅なレセプションルームが新設されている。クリヨンは78の一般客室に36のスイート、そして10のシグネチャー・スイートを擁す。過去には世界中のVIPが宿泊している。

正面エントランス脇にあるクラシカルな回廊。

パリでも屈指の美しさを誇るコートヤード。
華麗な“ マリー・アントワネットの間”「Solon Marie Antoinette」。そのテラス前にはコンコルド広場全景が拡がる。
「 Suite Bernstein」はコージーなテラスが付属するペントハウススイート。コンコルド広場に面したテラスからはエッフェル塔が望める。
「Suite Bernstein」のリビングルーム。同スイートの名はクリヨンを愛した著名な音楽家レナード・バーンスタインから。
「Suite Bernstein」のダイニングルーム。
「Suite Bernstein」のベッドルーム。スイートに限らず、どの部屋もベッドリネンなどには最高級の素材が用いられている。
バスルームのアメニティーにはビュリー “Buly1803” が並べられるなど最高の気遣いが受け取れる。
スパ施設「SENSE, A Rosewood Spa」にあるゴージャスなスイミングプール。水着で寛ぐサロンといった趣である。
ヘアサロン「Hair Salon by David Lucas」のレセプションデスク。

メンズグルーミング「The Barber, by La Barbière de Paris」。シューシャイン・サロン「Shoe Care Salon, by DEVOIRDECOURT」も併設。

MOF の称号を誇るパティシエ、Jérôme Chaucesse のスイーツが楽しめる ラウンジ “ジャルダン・ディヴェール”「Jardin d’Hiver」。
リニューアル前までのメインダイニング「Les Ambassadeurs」は、バー&ラウンジとし てその名を引き継いでいる。
「Les Ambassadeurs」のバーカウンター。
新設されたガストロノミー・レストラン “レクラン ”「 L’Ecrin」。ヘッドシェフChristopher Hache 率いる気品あるフレンチ・クイジーヌだ。

底がない変形のシャンパングラスが興味をそそり、名ソムリエのXavier Thuizat らが最高の料理を盛り上げる。
至高の時が流れるディナー風景。
夜間はライトアップされ、壮麗な正面ファサードが浮かび上がる。
プロフィール

小原 康裕
YASUHIRO OBARA
ホテルジャーナリスト
慶応義塾大学法学部法律学科卒。
1974年Munich Re 入社。
2001年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。
JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会常務理事。
SKAL International Tokyo、Professionnels du Tourisme 会員。
JARC、日本宿泊施設関連協会アドバイザリーボードメンバー。