この10月、ルーヴル美術館がレオナルド・ダ・ヴィンチの回顧展を開く準備をするなど、パリのアート界は相変わらず話題に事欠きません。そして来年、熱く期待される新しい博物館のオープンのおかげで、パリのアート界の狂乱はまだまだ続きそうです。

億万長者フランソワ・ピノーが新たに創設するプライベート美術館であるブルス・ドゥ・コメルスの開館日は、来年2020年の6月です。安藤忠雄が設計したこの美術館の建設費用は約1億7000万ドルと言われています。

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「ARTnews」トップコレクターリスト200に25回も登場しているピノーは、現在ヴェネツィアで2つの美術館を運営しています。そのパラッツォ・グラッシとプンタ・デッラ・ドガナはいずれも安藤が設計しました。ピノーは、ダミアン・ハースト、アルベルト・ウールン、シグマール・ポルケなど、名匠の名を持つ偉大なアーティストたちのショーを開催することで知られ、パリの彼の博物館は、カルティエ現代美術財団やパレドトウキョウなどのアートスペースとともに、芳醇な都市パリで最も注目されるスペースの1つになる予定です。。

ピノーの財産は約290億ドルの価値があると推定されており、その大部分は、グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、イヴ・サン・ローランなどの高級品ブランド会社を所有する持ち株会社ケリングから来るものです。1998年、彼はクリスティーズの過半数の株式を12億ドルで購入しました。今では世界のトップオークションハウスとなっていることはご存じのとおりです。

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このフランスのコレクターはフランスのアートシーンで最も重要な人物のひとりであり、彼がフランスに美術館を建てようとしたのはこれが初めてではありません。2000年に、彼はパリ近郊のスガン島にある旧ルノー工場に現代アート美術館を建設する計画を発表しました。しかし、博物館を建てる計画は官僚的な問題に巻き込まれ、ピノーは5年後にプロジェクトを断念しました。

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そして、ついに来年、パリの中心部にあるブルス・ド・コメルス(商工会議所)の建物を安藤忠雄が改装して、フランソワ・ピノーの現代アート美術館がオープンすることになったのです。ここは16世紀にカトリーヌ・ドゥ・メディチが邸宅を建てた場所。現在残っているのは円形屋根をのせた19世紀の建物で、内部にコンクリートの円筒を建て、美術館仕様に改装しようというのが今回の計画です。内部の上壁を覆う五大陸の交易を描いた壮大なフレスコ画も、同時に修復される模様。建物はパリ市から50年間の貸与となります

なお、ピノーは、今年4月、ノートルダム大聖堂の火災の後、彼と息子のフランソワ・アンリは、大聖堂の再建に1億ユーロを寄付すると発表しています。

所蔵作品は3500点を超えるというピノー・コレクション、どんなプログラムが披露されるか、いまから楽しみです。


All photos : © Artefactory Lab ; Tadao Ando Architect & Associates ; NeM / Niney & Marca Architectes ; Agence

Pierre-Antoine Gatier. Courtesy Collection Pinault – Paris.

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